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「人生100年時代」のキャリア・プランニング(1/2)

連載最終回となる今回は、「人生100年時代」とも言われる中で、重要な「28歳」、「35歳」、「45歳」の三つを起点に、キャリア・プランニングを総括する。(2017.12.26)

 長らくご愛読頂いた本連載だが、今回が最終回となる。これまでの連載のまとめの意味を込めて、「現時点では、こう考えておくといいのではないか」と筆者が考える、組織人の標準的なキャリア・プランニングの全体像をご説明しよう。

「人材価値」を中心に考える

 昨年辺りから「人生100年時代」という言葉がよく聞かれるようになった。先般、内閣府は「人生100年時代構想会議」という会議を作ったくらいだ。日本に限らず、先進国の平均寿命は時と共に延びている。大凡、10年ごとに2年延びるといったペースだ。現在40歳の男性の平均余命はざっと42年くらいだが、82歳になる頃には、平均寿命が8年延びて90歳が平均になる、といった状況が予想される。しかも、「平均」ということは、これよりも上の人がざっと半分居るということだから、現在40歳以下の方は、もう「100歳」を視野に入れて人生を計画すべきだろう。そして、女性は、さらに5年要る。

 さて、言うまでもなく、普通の人にとっては、どのように働きどれだけ稼ぐかが、人生の経済的な豊かさにとって最も重要な問題だ。

 本連載では一貫して、人生を考えるにあたって、頼りとすべきは、所属組織ではなく、自分の「人材価値」だと考えて来た。この傾向は、「人生100年時代」にあって、益々強化されるだろう。

 「人材価値」は、働く上での「能力」と、その能力を使って実際に働いた「実績」の二つの要素で構築される。「能力」を身につけるにも、「実績」を作るにも、数年単位の時間が掛かるので、計画と戦略が有効であり、これが「キャリア・プランニング」が必要となる理由だ。

典型的キャリア・プランニング

 以下の図は、主に会社・官庁などの組織で働く人にとってのキャリア・プランニングにあって典型的だと筆者が考えるパターンを示したものだ。本連載の主読者であるエンジニアも、こうした組織で働く方が多いだろうから、対象となる。

(図)

 「人生100年時代」とも言われる今日のプランニングを考える上で重要な年齢は「28歳」、「35歳」、「45歳」の三つだ。

 先ず自分の「適職」を見付ける期限が28歳だ。理由はビジネスパーソンの能力的全盛期である30代前半を、仕事を覚えて迎えるためであり、2年の集中的努力で仕事を覚えられるとして、30歳マイナス2歳が28歳となる。というのが、その根拠だ。

 また、これくらいの年齢を超えると、全く新しいことへの適応力が落ちてくる。スポーツ、囲碁、将棋などの選手の年齢と力を見ると、競争がより厳しくなった場合、もっと早くにコースを決める必要がありそうだが、現在の日本の企業、官庁の人使いを考えると、28歳が適職選びの限界だというくらいに考えていていいだろう。

 この年齢までであれば、業界や職種をすっかり変えるような転職も積極的に考えていいだろう。

 次に、30代前半に働いた実績で「人材価値」(組織内の評価も、転職できるような価値も)を確立する目処が35歳だ。

 現実問題として、この年齢を過ぎてビジネスパーソンとしての能力が更に伸びる人はほとんど居ない。ファースト・キャリア段階での人物評価は、このくらいの年齢で定まる。

 評価が、出世などの形に表れるのはもっと先かも知れないが、人材としての価値評価は30代半ばで大凡もう決まっている。自分で分からないとすれば、それは、たぶん本人が鈍いだけだ。この段階で人材価値を確立していると、組織内での出世も見込めるし、その後も悪くない条件で転職が出来る。

 30代前半は、組織の中で働かされるチャンスの多い時期だし、仕事を覚えており、体力もフレッシュな感覚もまだ残っている。ビジネスパーソンとしての能力の差が大きく拡がる年代でもある。この時点で、組織の要求レベルと期待される報酬が、自分の能力よりも低い場合、より良い機会を求めて主に同業界・同職種での転職を考えても良い。

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著者プロフィール

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSN エンジニア採用Webサイトにて「エンジニアの生きる道」を連載中。

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