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働くエンジニアは「子供」についてどう考えるか(1/2)

子供を持つか、持たないか。持つならば「何時」持つか。教育費や、いつか子育てが終わることも視野に入れ、「子供」について考察する。(2017.09.29)

子供を持つか、持たないか

 エンジニアに限らず、働く人々にとって、自分の「子供」についてどう考えるかは、人生の大きな問題だ。親にとって、子供は、「生き甲斐」でもあり、さまざまな「負担」や「心配」の種でもある。

 エンジニア読者は論理的なので、先ずは、子供を持つか、持たないか、の選択から考えてみることにしよう。

 実は、子供の問題は、この段階から大変難しい。子供を持った方がいいとも、持たない方がいいとも、言い切れない。

 かつては、大家族が一般的だった頃の昔の農家をイメージして頂くといいが、子供は家業のための「貴重な労働力」であり、老後の自分の面倒を見てくれることが期待できる「生きた年金兼介護保険」のような存在だった。また、国や社会も、国力の増強を求めて、子供に関しては、「産めよ、増やせよ」がキャッチフレーズであった。

 しかし、子供を家業の労働力としてあてにするというような産業構造では無くなると共に、進学率が上がり、親世代が経済的に一人前の大人になる年齢が上昇し、晩婚化が進んだ。加えて、教育費をはじめとして、子供を育てるのに必要なコストが着々と上昇して、子供を持つことの経済的な負担の大きさが、潜在的な親世代にあって意識されるようになった。

 近年研究が進んでいる「幸福の経済学」の調査によると、子供が生まれることそれ自体に対しては「幸せが増加した」と感じる親が多いようなのだが、余暇の時間の減少、育児のストレス、経済的な負担などを加えて「子供が生まれること」の幸福感への影響を評価すると、どうやら、総合的な効果はややネガティブらしいという結果を聞くことが多い。

 それでも子供が欲しい人は子供を持てばいいし、自分は子供を必要としないという人は子供を持たないことを恥じたり、申し訳なく思ったりする必要は無い、と筆者は思う。ちなみに、筆者は、自分の子供が欲しかったし、幸い子供がいるのだが、これは単に筆者がそうだったというだけで、一般化できる話ではない。

 場合分けから始めて、スッキリ論理的に話を進めようと思っていたのだが、出だしから躓いてしまった。

子供を「何時」持つか?

 続いて、子供が欲しいという前提で話を進めるとして、何時子供を持つのかが大きな選択の問題になる。特に、働く女性にとって大きな問題だ。

 現実には、女性が高学歴化して、晩婚化していること、働く女性も増えていることなどを背景に、女性の第一子出産年齢は高齢化しているのだが、筆者は、「できるなら」なるべく若い年齢で子供を産む方が、総合的に都合がいいのではないかと考えている。例えば、35歳で子供を産むよりも、25歳で産む方が、いいのではないかという仮説を持っている。

 理由は以下の四つだ。

 第一に、出産と初期の育児には母親が主に関わることになるが、「十分に働けない期間」が2年程度生じてしまう。この2年間のコスト(経済学的では「機会費用」という)を、まだ若手で必ずしも重要な仕事をしていない「25歳」時点で負担するのか、組織の中でより重要度の高い仕事をしている可能性が大きい「35歳」時点で負担するのか、と考えた場合に、25歳の方がいい場合が多いのではないか。

 第二に、より体力のある25歳の出産の方が、35歳の出産よりも、体力的なダメージからの回復が早いことだ。

 第三番目の理由は、現実には、子供を持ちたいと思った場合に、必ずしも直ぐに子供を持てるわけではなく、どうしても子供が欲しいと思った場合に、35歳時点よりも、25歳時点の方が、子供を産むことが出来る可能性のある持ち時間が長いことだ。

 第四番目、最後の理由は、早く子供を産む方が、子供が大人になって手が離れるのが早くなるので、中高年期の親の生活の自由度が高まることだ。

 こう考えると、早い出産の方がいいことずくめのようだが、その分、楽しみも多く、結婚相手をゆっくり選びたいと思っている若い時分の時間を、先ず結婚を決断した上で速やかに出産・育児に投入しなければならない。そして、もちろん、早く子供が欲しいと思っていても、結婚して子供を作ってくれる相手(男女とも)がいるかどうか、という極めて現実的な問題がある。

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著者プロフィール

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSN エンジニア採用Webサイトにて「エンジニアの生きる道」を連載中。

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