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エンジニアも考えておきたいセカンド・キャリア(1/2)

セカンド・キャリアについて、何歳から考え始め、どのような準備が必要なのだろうか。(2017.06.30)

「人生100年時代」のセカンド・キャリア論

 エンジニアの皆様は、ご自分の「セカンド・キャリア」について、どのようにお考えだろうか。セカンド・キャリアとは、「定年」前後で会社を離れた後の仕事の仕方を指す言葉だが、寿命の延長と共に、近年、その重要性がより注目されるようになっている。

 現在、20代、30代くらいの方だと、まだセカンド・キャリアに対するイメージを持ちにくいかも知れないが、この世代では、「平均的な自分の寿命は90歳くらい、長寿の場合は十分100歳超えがあり得る」という前提で将来を考える必要があるだろう。

 筆者は、現在、30代以上の方には「95歳位までの人生を想定して下さい」という前提で、仕事やお金のプランニングについて説明しているが、いわゆる定年を65歳と見ると、その後の「老後期間」が30年にもなり、率直に言って、時間と元気を持て余す一方で、働かなければお金が足りなくなる可能性が大きい。

 読者は、現在お勤めの会社の「定年」が何歳なのかを把握しておられるだろうか。一般に多いのは、60歳が「定年」で、65歳まで以前とは異なる条件で(年収が大幅にダウンして、管理職ではない場合が多い)「再雇用」される、という条件だ。

 さて、その後はどうするのだろうか? また、どのような準備が必要なのだろうか?

45歳から真剣に考えよ

 セカンド・キャリアについて「具体的に」考え始めるべき年齢をズバリ挙げるとすると、「45歳」だ。セカンド・キャリアへの準備には、かなり長い期間を要するのが普通だ。

 セカンド・キャリアだけでなく、仕事一般に言える事だが、仕事をして稼ぐためには、自分に、(1)「スキル」と(2)「顧客」の二つが必要だ。ビジネスパーソンは、この2点に関しては、常に自己点検しておく必要がある。

 例えば、エンジニアであれば、その専門知識の基礎を大学ないし大学院で身につけた方が多いだろうが、10年、20年と時間が経過した時に、大学時代の知識をベースにしていて、新しいビジネスに対応できるか、という問題が生じる。自分をいかに再教育するかという問題は、昨今注目が集まる「人生100年時代」の議論にあっても、重要性が強調されている。

 「AIに仕事を奪われる」といった心配以前に、同一職種内で対人的な競争力を失う心配をしなければならないことが多かろう。

 アカデミックな知識が重要な職種であれば、会社で働くのと並行して、学会などの会員となってアカデミックな研究の動向をフォローしておくべきだろうし、自分の専門分野の専門誌や論文などを日頃から読み込んでおくことが重要だ。

 再教育というと、職を離れて大学や大学院に行ったり、会社の仕事をこなしながら社会人大学院に通ったりする状況をイメージするかも知れない。しかし、前者では、離職が人材価値の上でマイナスに働きやすいし、再び同様に職に就くことが難しくなる場合が多いので、リスキーだ。また、後者も、両方をこなすことが大変な割には、人材価値のアップにつながらないことが多い(社会人大学院卒の履歴書は、意地悪く読むと「本業が暇だった人」と解釈できる)。

 さて、セカンド・キャリアにあっても、自分の「スキル」に加えて、「顧客」が重要だ。会社に勤めているという状況では、会社が自分の顧客であり、上司なり同僚なりが自分の仕事を必要としてくれるなら問題はないが、セカンド・キャリアを考える上では、例えば「60代の自分が働く上で、必要なスキルと、自分の顧客になってくれるのは誰か」を想定し、時間を掛けて具体的に両方を獲得して行かなければならない。

 例えば、弁理士、社会保険労務士、税理士、といった資格が必要ないわゆる「士業」で独立を目指すのであれば、先ず、資格を取るために勉強して、試験に合格するまでの時間が必要だが、それだけでは全く不十分であり、将来の顧客を獲得しなければならない。

 近年は、弁護士や公認会計士といった、いわゆる大型資格を取っても、それだけでは働き口が無い場合がある「士業過剰時代」だ。また、会社員時代に、会社の仕事を通じてつながっていただけの相手との縁は、自分が会社を離れると消滅する場合が多い。「本当に顧客になってくれるような人との人間関係」を十分に作って行くには何年もの時間が掛かるのが普通だ。

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著者プロフィール

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSN エンジニア採用Webサイトにて「エンジニアの生きる道」を連載中。

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