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「先生」の取扱説明書(1/2)

ビジネスパーソンとして「先生」と関わる機会があった場合、彼らにどう接したらいいのだろうか。「先生」を取扱うコツを考えてみたい。(2017.02.28)

「先生」には多大な利用価値がある

 エンジニア読者は、普通のビジネスパーソンと比較すると「先生」、典型的には大学や専門研究機関に所属する、研究者兼教師(両方を上手く出来る人は少ないのですが)との付き合いが多い職業であろう。

 また、エンジニア自身が、自分自身で学会の学術誌に論文を書くような、何パーセントかは「先生」であるビジネスパーソンである場合も少なくない。ある意味では、エンジニアは先生に近すぎて、先生という種族を客観的に見る事が難しいことがあるかも知れない。

 後述のように先生と呼ばれる人達は、接し方・扱い方に独特のコツを要するとしても、率直に言って「役に立つ」人々だ。よい先生と親しくなると、専門分野にあって適切な情報にアクセスするスピードが圧倒的に速くなる。彼らを、有効に活用できないとすると、ビジネスパーソンであるエンジニアにとっては、大きな実質的損失になる場合があるのではないだろうか。

 エンジニアならずとも、多くのビジネスパーソンが、就職後しばらく経ってつくづく思うのは、大学、さらには大学の教師をもっと有効に活用しておくことができていたら、どんなによかったかということだ。

 筆者は、経済学部の卒業生だが、学生時代にたいして高級ではないと思っていたような科目の教師のビジネスパーソンとして見た価値の大きさに、後年愕然とした経験がある。

 たとえば、筆者の学生当時の経済学部にあって会計学は、天下国家の経済政策を論ずる理論経済学よりも随分下位のプレスティージだったが、ビジネスパーソンになって会計知識を必要として定番の教科書を手に入れてみると、その著者は大学時代に単位を貰った教官であった。そして、その教科書を自習してみて、定番の教科書の著者本人から系統的に授業を受け、何よりも直接何でも質問できる学生という立場の何と素晴らしかったか、ということに後から気づいて後悔したものだった。

 本当は学生時代に知っておきたかったノウハウなのだが、ビジネスパーソンとしても先生種族と関わる機会があった場合に、彼らにどう接したらいいのかを、以下、考えてみたい。

 ちなみに、筆者は、昨年の3月まで関東圏の某私立大学で特任教授という肩書きで(会社の立場に喩えると、特に丁寧に扱われている嘱託社員のような感じの立場だ)、6年ほど大学教師を務めてみた。以下の「取扱説明書」の内容は、少なからず他人が自分自身を取扱うコツでもあることを告白しておく。

先生とは「歩く自己承認欲求」だ!

 先生という商売は、基本的に、他人から尊敬されたい人、自分を承認して貰いたい人がなる職業だ。

 考えてみると、大学教師には、実業界に入っていた方が少なくとも収入面では恵まれただろうという才能・能力の持ち主が少なくない。しかし、好きなテーマを仕事にしているという優越感や、さらには自分が知的に優れているというプライドを満足させる自己の置き場所として「先生」を選んでいる(経済論理的には、そうとでも考える以外に理解のしようがない)。

 従って、教師は、自分がどのように見られているかということに大変敏感な種族だ。加えて、自分が尊敬されていると実感しなければ満足しにくい面のある人達だ。そして、このこと自体は悪いことばかりではない。この種の人々は、自己に独特のプライドを持つが故に、しばしば「損得」ではなく「正しさ」の方を選ぶことがあるし、自分だけの成果や仲間内の評価を求めて、一つの分野に深く集中することがあるのだ。

 ビジネスパーソンから見ても、あるいは学生から見ても、「先生」とは自分が他人に認められていることを実感したいと求める「自己承認欲求そのものが洋服を着て歩いている」ような生き物なのだと理解しておくのがいい。

 「先生」と親しくなって、その後には先生を利用する立場になりたい人は、先生に会いに行く前に、是非、当該先生の著書や、論文を幾つか先に読んでおくべきだ。先生の側では、自分が他人にどう思われているかということに極めて敏感であり、事前に自分の著作や論文に興味と敬意を払った相手のことが好きになりやすいのだ。

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「先生」の取扱説明書

「先生」の取扱説明書(2017.2.28)

ビジネスパーソンとして「先生」と関わる機会があった場合、彼らにどう接したらいいのだろうか。「先生」を取扱うコツを考えてみたい。

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著者プロフィール

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSN エンジニア採用Webサイトにて「エンジニアの生きる道」を連載中。

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