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「残業ゼロ!」時代の仕事術(1/2)

昨今、労働時間に対する規制が厳格化し、残業制限を行う企業が多々ある。そのような時間制約下で実践できる仕事のコツを4つご紹介したい。(2016.12.21)

労働時間の管理が厳格化

 近年、徐々に、労働時間に対する行政の規制が厳格化する趨勢にある。長時間労働による過労死や自殺などの痛ましい事例が報道された影響もあるが、これまで大目に見られる場合が多かった専門職や、高給で遇されるプロフェッショナルにあっても、長時間の残業を法令通りに規制しようとする動きが出て来た。

 また、行政による強制だけでなく、企業の経営者側でも、社員を長時間働かせることは、社員の健康管理や法的リスクあるいは風評などの、さまざまなリスクや能率の観点から問題であるとの認識が生まれている。

 例えば、時差のある海外とのやり取りも多く、ハードワークで有名な大手総合商社のような業態でも、残業を事前届出制としたり、一定の時間に消灯を強制したりして、社員の残業を減らそうとする動きが出て来た(もっとも、この会社の場合、早朝出勤が奨励されているので甘くはない)。

 また、経営者は、残業の制限によって人件費を抑えることが出来る点にも着目している。残業時間の上限制限あるいは、もっと極端な場合、「残業ゼロを原則とする」といった施策が打ち出される可能性もある。

 エンジニアである読者諸氏は、残業について、どうお考えだろうか。エンジニアには、効率を重んじる合理的な人物もいるのだろうが、それ以上に、時間を掛けてでも完成度の高い仕事をしたいと考える完全主義者が少なくないように思われる。こうした方の場合、残業代は一定以上要らないから、気が済むまで時間を使わせて欲しいと思うような場合もあるのではないだろうか。

 その気持ちは、筆者も分かる積もりだ。筆者は、金融業界で、アナリストやコンサルタントのような「アウトプット」(レポート、論文、プレゼンテーションなど)で評価される仕事をして来たので、使いたい時に時間を使って仕事が出来ることのありがたさがよく分かる。また、例えば、新しい仕事に慣れてスキルを上げようとする時に、少々能率が悪くとも長時間納得が行くまで仕事をすることの効用もしばしば感じてきた。

 しかし、時代は変わっている。

 残業には上限があるのが当たり前で、場合によっては、「我が社は残業ゼロを基本方針とする」と社長がいつ宣言してもおかしくない状況が直ぐそこまでやって来ている。

 こうした場合、「残業ゼロ」によって自分が自由に使える時間が増えるメリットに目を向けて、状況の変化に適応するのが賢いビジネスパーソンの道だろう。

時間制約下の仕事術

 さて、オフィスで仕事をする時間を制約された場合(この場合、外部からのリモート・ログインも遠からず制約される可能性が大きい)、どのように仕事をこなすといいのだろうか。

 もちろん、「大丈夫、任せろ!」とまでは言えないのだが、筆者なりに、長年時間の制限と戦って仕事をしてきたことで掴んだコツが4つほどあるので、ご紹介しようと思う。

【コツその1】「締め切り」を最大限に活用する。

 筆者は、近年、「締め切りこそが、人類の最大の発明だ」とつくづく思うに至っている。世の中に、締め切りというものがなければ、人々の仕事の能率はおそらく現在の半分に遙かに満たないのではないだろうか。

 人は締め切りがあればこそ、それまでに仕事を完成させようとして努力をするし、効率の良い努力のための段取りを頭の中で考えるものだ。

 例えば、単に筆者が怠惰で自己管理ができていないからなのかも知れないが、テーマも決まらないし、書く作業も大変だという原稿が、締め切りから逆算して、何とか書けるという時間からなぜか書き始めることが出来て完成する、という経験がしばしばある。これは、「締め切り様のおかげだ」と言うしかない。

 実は、現在、この原稿も、「締め切りまで、あと何時間(何日ではなく、何時間だ)」という条件下で書き始めることが出来た。

 読者も、受験生時代に、自宅で時間の制約なしに問題を解くよりも、時間の制約がある試験時間の中の方が効率良く問題を解くことが出来た、といった経験をお持ちではないだろうか。

 数多ある仕事のコツの中でも特別に有力なものの一つとして、仕事に、緊張が途絶えない程度の長さの時間の「締め切り」を設けることがある。上手に時間を区切って締め切りを作ることが出来ると、仕事の能率は少なくとも数十%増しになる。

 この方法の成否の鍵は、(1)仕事と締め切りの区切り方と、(2)締め切りの真剣度をいかに確保するか、の二点にある。

 締め切りとなる仕事の単位に対応する時間設定が長すぎても短すぎても上手く行かない。集中力が切れない程度の時間であって、集中によって時間を短縮できる程度の仕事と制限時間を設定できるといい。この加減には経験が要る。

 尚、「締め切り」の緊張感には小さくない効果があるが、緊張の効果を連続して取ろうとするのは愚策だ。一つの締め切りと、次の締め切りの間には、「遊び」(≒気分転換)が必要だ。こうした設定の具合は、仕事の能率に大いに影響する。たとえば、締め切りによって30%能率を改善したなら、意識的に10%に相当する時間くらいの休みを取ることが効果的な場合が多い。

 また、自分で設定した締め切りにも、それなりの有効性はあるのだが、自分で修正が可能なのでどうしても真剣味を欠くことが多い。

 理想的には、職場の上司が部下の能力と仕事の進捗状況を把握しながら、適切に「締め切り」と息抜きを設定できるといいのだが、これが的確に出来る優れた上司は少ないだろう。

 個々のビジネスパーソンは、自分と自分が上手に約束を結べるような工夫が必要だ。

次ページ:コツその2は「やることの優先順位を先に決める」

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著者プロフィール

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSN エンジニア採用Webサイトにて「エンジニアの生きる道」を連載中。

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